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LOGISTICS

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#009

花王株式会社
ロジスティクス部門 戦略企画部

川上 瑞貴 さん

2024年入社

「当たり前の日常」を支えるために。
物流の未来をデータ利活用で切り拓く。

「攻めのIT」で社会課題の解決に
取り組んでいます。

 洗剤、化粧品、おむつ、入浴剤など、誰もが知るブランドを多数抱え、人々の豊かな暮らしを支えている花王。入社3年目となる川上さんは、ロジスティクス中⾧期戦略の立案・推進を担う重要な部署で、データ利活用を通じて物流戦略やDX推進などに取り組んでいる。
 「IT業務は、どちらかというと社内の情報整備やサイバーセキュリティなどが中心のいわば『守りのIT』をイメージする方も多いと思います。一方、私が所属する戦略企画部は、様々な課題の解決に向け、社内に蓄積されたデータを活用しながら業務フローの改善などに取り組む『攻めのIT』を行う部署といえます」
 現在の仕事の中心となるのは、花王と三菱食品を中心に業界の垣根を超えて集まった、荷主企業9社による2026年4月発足の共同配送コンソーシアム「CODE(Cargo Owners’ Data-driven Ecosystem)」。近・中距離の輸配送データを各社で集約・共有し、車両融通(コースマッチング)によってトラックやドライバーなどのリソースを最大限に活用することを目指す、いま注目のプロジェクトだ。
 「『物流の2024年問題』が注目されたように、物流業界のドライバー不足や労働力不足は大きな社会課題です。データに基づいた共同配送の実現による省人化や輸送効率化に貢献するのはもちろん、将来的には持続可能な物流ネットワークを業界横断で実現することを目指して活動しています」

共同配送に取り組むCODE。その第1回代表者会議が2026年5月に行われた

共同配送に必要なマッチングロジックを開発。
参画企業間のデータ標準化にも奔走しています。

 CODEでは、物流拠点から小売店等への納品が中心の「支線配送」といわれる領域の共同配送を目指している。拠点間の大量輸送が中心の「幹線輸送」に比べ、各社の納品条件に合わせてきめ細かく対応する必要があることから、共同化が進んでいなかった分野だ。
 「私自身はCODEで、フォーマット整備や配送データ標準化、車両融通を成立させるマッチングロジックの開発などを担当しています。共同配送の実現には、異なる条件をすり合わせ、接続可能なコース同士を抽出して『多対多』のマッチングを成立させる緻密なロジックの開発が重要です。今年4月に発足し、年内には一定の成果が出せるよう、スピード感を持って活動に取り組んでいます」
 マッチングの前提となる、参画企業間での「データの標準化」も欠かせない。例えば、23時に拠点を出発して翌朝4時に店舗へ納品するような日をまたぐ配送の場合、出発と納品のどちらを「配送日」とするかが各社で一致していなければ正しい処理は難しい。川上さんはその取りまとめにも奔走している。
 「私が大切にしているのは、競争ではなく共創です。企業ごとに最適を目指していた時代から、今後は業界や社会で『全体最適』を目指して一致協力していくことが重要です。9社それぞれで何を『標準』とするかの認識は少しずつ異なりますが、皆さんが納得できる仕様に統一していくため、丁寧にヒアリングや説明を重ねています」

イルカの鳴き声を自動解析する研究が
データを活かす仕事につながっています

 大学時代は海洋資源エネルギー学科で海洋音響学を専攻していた川上さん。修士時代には海洋哺乳類が発する音を研究していたという。
 「『楽しそう!』という純粋な興味から研究に熱中しました。時にフィールドワークで野生のイルカを観察するかたわら、海中で録音した3カ月分の音響データから、わずか数秒の鳴き声を自動検出して解析・可視化するモデルを開発しました。データを活用して新たな価値を生み出す経験は、物流データを活用しながら業務改善やプロジェクト推進に取り組む現在の仕事につながっています」
 就職活動の時点から、データ利活用によって物流業界の課題解決に挑む仕事を志望していた川上さん。そこには「『当たり前の日常の提供』を支える仕事を通じて、社会に貢献したい」という想いがあった。
 「自分が仕事で関わる製品が日常生活の中にあるのは、やりがいを感じられるのではないかと考えていました。メーカーとして生活に欠かせない製品を安定的に届けるため、先進的な取り組みでサプライチェーン全体の最適化を進めている花王のエンジニア職は、まさに理想の環境。ここでロジスティクスの改善に邁進したいと志望しました」

日頃、ドラッグストアなど小売店に立ち寄った際も、つい自社製品がどこに置かれているか気になってしまうという。

社会全体へ好影響を与えられる「高度物流人財」を目指していきます。

 物流の魅力を「多くの関係者と力を合わせて大きな成果を生み出せること」と語る川上さん。学生時代は決してコミュニケーションが得意なわけではなかったというが、今では積極的な対話を心がけている。
 「課題が顕在化しないままスムーズに進んでしまい、後から『あの時に聞いておけば』と悔やむ事態は避けたいですから。様々な視座を持った方からの意見を聞き、自分にはない新たな発想に触れることも、自身の成長という意味でとても大事にしています」
 川上さんは「物流業界のデータ利活用の余地は、まだまだ大きい」と語る。システムの能力を最大に引き出すためには、それがどのように現場で活用されるのか、使う側の気持ちに立って考えることが大切だと感じているという。
 「原材料調達から生産、物流、販売までを一気通貫で見渡せる花王の強みを活かして、サプライチェーン全体を設計・最適化できる人材になるのが当面の目標です。そしていつか、経験や知見を業界全体へ拡げ、社内外へ良い影響を与えられる存在になれたらと考えています」

「日頃の疲れは、自社製品の入浴剤『バブ』や『めぐりズム 蒸気めぐるアイマスク』でリフレッシュしています」

職種
概要

花王株式会社
ロジスティクス部門 戦略企画部

かわかみ みずき

川上 瑞貴 さん

2024年入社

趣味はスポーツ観戦や旅行など多彩。2026年の年越しは友人とイギリス・ロンドンへ赴き、プレミアリーグの推しチームであるチェルシーのホームゲーム観戦や、映画『ハリーポッター』でおなじみの「9と4分の3番線」のあるキングスクロス駅へ足を運ぶなど、旅を満喫した。

  • どんな仕事?

    サプライチェーン全体の最適化を目指して、データの利活用による物流戦略やDX推進に取り組んでいます。共同配送コンソーシアムCODEのほかにも、花王社内では配送マネジメントシステムの再構築プロジェクトとして、最適なルート設計のためのシミュレーションや、各拠点で新システムの機能や使い方を説明する導入支援などに携わっています。

  • どんな人が向いている?

    データを扱う業務ですので、数字を見るのが苦にならない点は大事かもしれません。自分が書いたプログラムが思うように動かない時に、根気強く取り組む姿勢も必要でしょう。また、プロジェクトに関わる人が多いため、様々な関係者と対話を重ね、異なる意見を受け入れながら調整をはかったり、自分の中に吸収して考え方をブラッシュアップできる人も向いているのではないでしょうか。

  • どんなキャリアプランが描ける?

    私が所属している部署にはデータ利活用を強みとするメンバーが揃っており、CODEや配送マネジメントシステムの再構築以外にも、例えば庫内作業の改善など、様々な取り組みが行われています。そうした経験を積み重ねてキャリアの幅を拡げるほか、関係者が多い特徴を活かし、他部門で知識やノウハウを蓄積して再びロジスティクス部門に戻って活躍するなど、活動の将来性は多岐にわたると考えています。

  • この職種の難しさ、面白さは?

    物流は人々の生活を支える重要な社会インフラであり、決して止めることができません。データだけを見て最適解を導けばよいわけではなく、立場の異なる多くの関係者と対話を重ねながら合意形成を進めていく難しさもあります。それでも、データを活用しながらより良い仕組みを考え、実際の変革につなげることで「人々の当たり前の暮らしを支えている」と実感できる点は、大きなやりがいとなっています。