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LOGISTICS

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#004

キユーピー株式会社
ロジスティクス本部 戦略企画部

岡野 翼 さん

2016年入社

たくさんの担当者とベクトルを合わせて進める。
それが私の仕事です。

定型業務は特にありません。

 「毎日いつも違うことをしています」と岡野さん。顧客である卸売事業者(以下、卸売)や外食企業から発注された商品を滞りなく納品できるようにするために、社内の各部署と連携することが基本的な業務だ。
 キユーピーは全国に営業所、生産拠点、倉庫があり、そこに家庭用・業務用合わせて約2,000の商品が流れている。卸売からの注文に在庫切れという事態は避けなければいけない。だからといって商品を作りすぎて余らせるわけにもいかない。
 需給バランスに変化が生じる場合に、岡野さんは営業と生産の間に立ち、需要と供給のバランスを保つ役割を担っている。代表例は年2回の新商品の発売だ。
 「新商品なので、どれくらい売れるかわかりません。ということは、どれくらい作ったらいいかの予測も難しい。そこで、類似する過去の商品の販売・製造などのデータをエビデンスとして、今度の新商品はどれくらい売れそうか、どれくらい作ったら良いかを予測し、それをもとに営業や生産の担当者と商品ごとにすり合わせます。」

持続可能な加工食品物流に向けた企業間取組も
ミッションのひとつです。

 他方、現場では働き方改革法案や、高齢化などに起因する労働力減少により、業務改革が求められている。そこで同社は「簡易な検品レス」という新しい業務システムを物流会社と共同で開発、得意先との取組事例が経済産業省の「サプライチェーン イノベーション大賞2021」優秀賞を受賞した。
 岡野さんは、この新システムの普及を通して、持続可能な物流モデルの構築に取り組んでいる。このシステムが広がれば現場の業務が効率化し、担当者の負荷軽減を進めることができる。
 「それだけではなく、他の食品メーカーや納入業者にも導入が広がれば、業界全体の改革につながり、持続可能な食品物流の環境が整っていきます。中長期的な継続課題です」

「どんな商品形状・梱包だと効率的に運べるか。そんなデザイン・フォー・ロジスティクスの考え方は、商品ボトルや外箱の設計にも取り入れられています」とドレッシングを手にする岡野さん。

今でも忘れられないシーンがあります。

 「入社後、営業職で得意先を回っていたとき、当社の商品が納品されるシーンに立ち会ったことは忘れられません。特に配属当初は、目の前の業務に精一杯で、食品を納品している実感を持てていませんでした。でも、実際に商品が納品される現場を見て、初めて商品がエンドユーザーひとりひとりに届くところまでイメージできました。また、得意先からの発注に対して滞りなく納品するために、在庫配置の依頼などを事前に社内で連動していますが、納品現場に立ち会ったことでその業務の意義が腹落ちすると同時に、キユーピーグループの中でさまざまな部署が連携して商品供給が成り立っていることを実感しました」
 そんな岡野さんの感動を知ってか知らずか、営業からロジスティクス本部への異動の辞令が下る。営業の先輩からは「ロジに行くのか!」と注目を浴びたが、当時の岡野さんはその意味を図りかねた。異動から3年経ち、現在の状況を次のように語る。
 「会社の経営指標に日常的に接するようになりました。例えば『在庫』のデータは、われわれメーカーにとって企業活動の指標でもあります。どれだけモノを作っているか、売れ行きはどうかが、その数字からわかるからです。」
 売るだけではない、作るだけでもない面白さ・難しさが、ここにはある。営業の先輩が興味を示した要因は、そのあたりかもしれないと岡野さんは感じている。

高速道路を見上げて「トラックや鉄道などの輸送モードをうまく組み合わせて、物流コストや環境負荷を低減することもロジスティクスの大事な仕事です」と話す岡野さん。

どの仕事にも、やりがいを感じています。

 「ベクトルを合わせていく作業だと思うんです、私の仕事は」
 営業の販売計画と、生産の製造計画には、乖離が生じるものだが、社内外の事情や、各部署の声に耳を傾けながらベクトルを合わせていく。日々の納品や新商品発売では会社の利益貢献のために、また業務改革では持続可能な加工食品物流の構築に向けて、エビデンスをもとに予測や目標を立て、納得いくまで話し合い、そこに邁進する。
 「みなさんと目標やモチベーションを高くもち、それで結果を出せたときはものすごくうれしい。そこに私はやりがいを感じています」と岡野さん。
 その一方で、謙虚さも忘れない。「とはいえ、私はまだまだ若輩者。みなさんにいろいろお願いをすることが多い立場ですが、自信を持ってできるよう、勉強や経験を重ねていきたいと思っています」

コロナ禍でリモートワークが増えたが、この日はオフィスに出て業務をこなした。

職種
概要

キユーピー株式会社
ロジスティクス本部 戦略企画部

おかの つばさ

岡野 翼 さん

2016年入社

大学時代の専門は農学部食品生化学。人はどんなものを食べると、身体はどのような反応を示すかを追い続け、そのときの研究体験がキユーピー志望の動機に。良い食品を多くの人に勧める仕事に就きたい、と営業を志望し配属。ロジスティクス本部への異動は想定外で「SCM(サプライチェーンマネジメント)という用語すら知りませんでした(笑)」。好きな自社商品は、焙煎ごまドレッシング(業務用1L)。

  • どんな仕事?

    商品を製造してお客さまのもとにお届けする中での課題に着目し、持続可能な加工食品物流構築に向けた社内外の活動を行う窓口部署に所属しています。

  • どんな人が向いている?

    人とのコミュニケーションが好きな人ですね。特に私の仕事は、いろいろな立場の人と関わることが多いので、相手の立場や状況を理解し、一緒になって最適解を探していけるようなコミュニケーションを心がけています。また、相手にとってわかりやすい伝え方も大事です。学生時代に研究発表のために実験などのデータをエビデンスとしてまとめたように、なるべく論理的に伝える工夫をしています。

  • どんなキャリアプランが描ける?

    この部門には経験豊富なプロフェッショナルの先輩が多く、良い知識が身に付けられます。ここで会社の事業を俯瞰的に捉えた経験は、他の部署に異動することがあってもきっと役に立つと思います。

  • この職種の難しさ、面白さは?

    ロジスティクスにおける課題は、単独の部署では解決できません。関係する部署と協力して取り組む必要があります。それぞれの立場で事情が異なり、そこに難しさと面白さの両方を感じています。みなさんと課題を共有し、改革の必要性に納得してもらい、実行し、そして結果が出た。そんなとき、本当にこの仕事で良かったと実感します。