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LOGI GUIDE [知る]

モノを動かす仕組み②[ICTベンダー]

ICTで進化する物流ソリューション

 物流管理にとって情報システムは不可欠です。対象となる領域は、倉庫管理(WMS)や輸配送管理(TMS)、在庫管理、需要予測、さらには物流全体を視野にいれたロジスティクス管理(LMS)などさまざまです。ほんの数年前までは、こうした仕組みが物流ソリューションの中心に位置していました。
 これらのシステムの重要性は今も変わっていませんし、今後も大切です。しかし、最近になって一気に注目度が高まっている新しい領域があります。AIやIoTといった技術を活用するシステムです。まだ有効な活用方法を模索している段階ですが、すでにネット通販の物流センターなどではAIを駆使するロボットを積極的に導入しています。
 サプライチェーンの管理においても新たな可能性が指摘されています。現状では、小売店のPOSデータや、取引先からの受注データ、過去の販売実績などに基づき、個社ごとに需要を予測しています。個社ごとでの予測精度の向上には限界があり、その分だけ在庫を多めにもつコストや、欠品による機会損失が避けられません。
 IoTを使えばよりリアルタイムに近いデータを入手でき、また各社ICTにより繋がることができるようになれば、これをAIで分析し、従来より精度の高い需要予測が可能になると期待されています。予測精度の向上は、さまざまな業務の効率化につながります。ICTの発展によって、物流ソリューションのあり方も劇的に変わろうとしています。

情報システムの業務領域を示すサプライチェーン

その道のプロに聞く!

ICTベンダー

武藤 裕美さん

日本電気株式会社

交通・物流ソリューション事業部
バリュークリエイション部長

武藤 裕美さん

※ 所属・役職は取材当時

プラットフォーム化で物流を変える

 日本電気(NEC)には、メーカー、ICTベンダー、システムインテグレーターという3つの顔があります。顧客が必要とするシステムの開発やインテグレーション(統合)を手掛けるだけでなく、2000年代には電機メーカーとして自らサプライチェーン革新に取り組んだ経験を持っています。
 これはメーカーがサプライチェーンの要(かなめ)に物流を据えて業務革新を実現した珍しい事例です。まず製品や部品を運ぶトラックを定時定ルートで運行する全国物流網を整備し、この物流便に合わせて生産や調達を行うようにしました。その結果、在庫圧縮やリードタイムの短縮、事務作業の効率化など多くの成果を得ました。このときの経験も活かしながら物流関連事業を展開しています。
 私が担当している「物流ソリューション」の分野では従来、お客様の物流管理を効率化するシステムを主に構築してきました。最近では、より広く情報を集めて業務を効率化する“プラットフォーム”の考え方が重要になっています。現在、電子部品や食品のサプライチェーンを効率化するためのプラットフォームを、関係者の皆さんと一緒に作ろうとしています。
 これからはモノの流れを可視化し、そこで掴んだファクトに基づいて課題を解決していくことが求められます。AIやIoTの技術も大切ですが、それだけではなく人間と協業させることが重要です。世の中のために新しい価値を生み出したいと考えている学生さんに、ぜひ積極的にこの世界に飛び込んでほしいと思っています。

NECが構築をめざす
ロジスティクス・プラットフォーム

ロジスティクスのプロに聞く!