モノを効率よく届ける[卸売業]
メーカーと小売店をつなぐ中間流通
卸売業はメーカーや市場から商品を仕入れ、その商品を小売事業者などに販売します。中間流通業とも呼ばれ、製品を効率よく大量生産する製造業と、消費者に少量ずつ販売する小売店をつなぐ存在です。日本では食品や日用品、医薬品といった業種ごとに卸売業が発達しており、多様な小売店を支えてきました。
卸売業にとって物流は中核業務のひとつです。仕入れた商品を物流センターに保管し、輸配送ネットワークを駆使して小売店などに供給します。複数の小売業と取引のある卸売事業者が全体の売れ行きを見ながら商品の在庫量をコントロールすることは、メーカーによる作りすぎの抑制にもつながります。
近年、急成長している大手ネット通販事業者は自ら大型物流センターを構え、メーカーから商品を直接調達するケースが増えています。しかし、サイト上のバーチャル店舗の取扱商品は無限に増やせても、商品を実際に保管する物流センターの能力には限界があります。このため、めったに売れない商品については、大手ネット通販といえども卸売業に依存していることが珍しくありません。
有効な物流インフラを備えた卸売業は、このようにメーカーと小売業の双方のビジネスを効率化します。サプライチェーンにとって不可欠の機能を提供することで、およそ半世紀前に喧伝された“無用論”を乗り越えて存在意義を高めています。
メーカーと小売業間で
“モノ”の移動を効率化する卸売業
その道のプロに聞く!
卸売業
株式会社日本アクセス
人事・総務部人材開発課長
松尾 篤史さん
※ 所属・役職は取材当時
ロジスティクスの仕事は奥が深い
食品卸の第一の使命は、食品を最適な状態でお客様にお届けすることです。牛乳や豆腐といった賞味期限の短い商品を、温度管理や鮮度管理を徹底しながら小売業さんに納品する。ただ売るだけじゃなく、安全・安心な状態で届けることが付加価値につながっています。
当社の営業担当者は、隠れた名品や珍しい食材、売れている食品などを全国各地から探してきます。われわれとしては、こうした食品をぜひ多くの方々に届けたい。そこで大切になるのが、商品を安く迅速に扱える物流インフラです。そのための物流機能を社内ではロジスティクスと呼んでいます。
営業の仕事をするにしても、まずはロジスティクスについて知る必要があります。だから当社の新入社員は全員、入社から4カ月間は支店(現場)でロジスティクスの仕事に携わってもらいます。業務をアウトソーシングしている倉庫で物流の実務を経験し、支店の受発注業務なども手掛けます。
営業志望で入社した社員でもロジスティクスの部署をもっと経験したいという社員も増えています。そういう人たちは皆、「ロジスティクスは奥が深い」と言う。実際、いま注力しているEC事業も、ロジスティクス事業の一環として推進しています。多くのことに興味をもって楽しみながら突きつめていける人材に、ぜひ入社してもらいたいですね。