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LOGI LAB. [学ぶ]

ロジスティクスの“今”を学ぶ!

大和ハウス工業株式会社 様

大和ハウス工業 DPL流山

2019年11月6日(水)、大和ハウス工業DPL流山で行われた「大学生のための先進物流センター見学会」に、青山学院大学経営学部と学習院大学経済学部のゼミ生計14名が参加しました。
当日はまず、物流センター近くの会議室でダイワハウスグループの物流コンサルティング企業・株式会社フレームワークスの織田佑一さんにより、DPL流山の概要説明からスタート。その後貸し切りバスでDPL流山へ移動し、DPL流山では1時間以上にわたりじっくりと施設を見学しました。
貴重な機会を得て、多くのことを学んだ参加学生の感想をいくつかご紹介します。

学習院大学
経済学部 経営学科 2年

K.E. さん(女性)の感想

学年は見学会当時

⾃動棚搬送ロボット「Geek」

⾃ら指定された棚まで出向き、指定された労働者の元まで届ける。⾃ら前後左右に動くことができる。

⾃問⾃答し、答えの出ない⽇々

⼤学2年も終わりに近づき、就活について考える機会が増えた。その際に⾃分がどんな職種に就きたいか、⾃分に適した職種とは何なのか、⾃問⾃答し、答えの出ない⽇々が続いていた。そんな時、ゼミに今回の物流というジャンルの⾒学会参加者を募る連絡が届いた。就職を意識し始めると様々な職種を⽬にするが、“物流”という職種は特に⽬にするようになった。私⾃⾝、物流に関しての知識が乏しく、物流がどんな仕事で、物流業界がどんな現状であるのかよく理解ができていなかった。⾃分の知らない未踏の地に⾜を踏み⼊れ、⾃分の視野を広げる意味合いもあり、この⾒学会に参加してみることにした。

大きく覆された物流のイメージ

多くの人は、“物流”という⾔葉を聞いて、どのようにイメージするだろうか?
「⼒仕事である」「男社会」「⻑時間労働である」「給料が少なそう」といったイメージを持つ人も多いだろう。私⾃⾝、“物流”と聞いて⼀番に思い浮かべたのは、「倉庫での地道で重労働な作業」である。やはり、ドラマなどのイメージで、作業者が倉庫内で汗⽔たらしながら、⼀⽣懸命商品の積み下ろしをしているイメージが根強くあった。しかし、今回⾒学会に参加し、そのイメージは⼤きく覆されることとなった。

女性が輝ける仕事場

イメージが変わった1つ⽬は、⽐較的⼒仕事の⾯が少ないことである。今回⾒学させていただいた⼤和ハウス⼯業DPL流⼭Ⅰは、棚搬送ロボットシステムを導⼊している。このロボットが、作業者が効率よくピッキングできるように必要なものを棚から運んできてくれるのである。これにより、作業者が毎回棚まで歩かずに済み、負担にならない上に、移動し運ぶ⼿間が省けるので、時短にも繋がる。作業が楽になったためか、実際の流⼭の現場では⼥性従業員が多く⾒受けられた。⼥性でもかなりスムーズに仕事をこなしており、とても輝いていた。
2つ⽬は、物流倉庫は、意外にアクセスのよい場所にあるということである。DPL流⼭は、常磐⾃動⾞道流⼭ICから約2.7kmと近接している。実際に訪れてみると予想に反して、住宅街や、ショッピングモールなどの商業施設、⼩学校なども多く、⼦連れの家族が多い場所という印象を受けた。以前と違い、現在では、物流施設の多くは、よりアクセスのよい場所に建設されることが多いということを知った。
2つ⽬のアクセスの良さに関連して、現在、物流施設のニーズが⾼まっていることを学んだ。空室率がかなり低くなっており、物流施設が不⾜していることが数字からもよく理解できた。

当初私が物流施設(倉庫)に抱いていたイメージは「少し暗く、商品のみが陳列してある空間」というものだった。しかし、物流施設には、商品の撮影スタジオや顧客の問い合わせに対応するコールセンターまでも設置されている倉庫があることも知った。そのような作業は、別に設けられた場所で行われているものだと思っていたため、固定観念を覆す知識を得ることとなった。

技術の進化に驚き!

今まで知らなかった物流の現状を⾃分の⽬で見て学ぶことができ、今まで⾃分の中にあった古い固定観念を現状の新しい知識にアップデートすることができた。今回、DPL 流⼭を⾒学して、⼀番衝撃的だったことは、IoT の進化である。⼤学の授業でも、度々IoT 関連の内容を学んでおり、理解しているつもりであったが、⾃分の理解と予想を遥かに超えるほど時代は進化していた。ニュースでも「ロボットに⼈間の仕事を奪われる」と⽿にする機会が多いが、今回そのことを肌で実感し、⼈間である⾃分に何ができるのだろうか、と考えるきっかけになった。物流に関して、より関⼼を持つことができ、⾃分の⼤きな糧となった。

⾃動棚搬送ロボット「Geek」

⾃ら指定された棚まで出向き、指定された労働者の元まで届ける。⾃ら前後左右に動くことができる。

学習院大学
経済学部 経営学科 3年

M.I. さん(女性)の感想

学年は見学会当時

倉庫内の様子

業界のいまと課題、未来がわかる

今回は「大学生のための先進物流センター見学会」に参加し、物流業界および物流施設の現状と今後の展望について学んだ。
まず、物流業界が直面している課題として、人口減少に伴う人手不足が挙げられる。これは物流業界に限った問題ではないが、BtoCのEC化率が上昇していることを背景に物流業界でも今後ますます深刻化することが想定されることであり、できるだけ早く対応する必要がある。また、インターネットを経由したショッピングの普及により、物流施設に対するニーズも変化している。以前のように単純にモノを梱包して配送するだけではなく、商品写真の撮影やコールセンターの常設、配送効率を上げるために消費地の近くに建設したいといったように、物流施設に求める機能や建設地へのニーズも多様化している。さらには宅配便の再配達や働く人の高齢化といった問題もある。一方で物流のオペレーションという面では、輸送の機械化から始まり、荷役の自動化、物流管理のシステム化と高度化を果たしてきた。そして、今後はIoTの進化による機械化・省力化が求められる。つまり、人とロボットの共存という流れになるのだ。

驚きの多い物流現場

こうした様々な課題や今後の展望があるなかで、今回お話を伺った株式会社フレームワークスでは土地・建物から庫内のオペレーションまでをトータルコーディネートし、ビッグデータ、AI、ロボットといった技術を活用することで自動化・可視化による省力化およびコストの削減を図っている。巨大物流施設、大和ハウス工業 DPL流山ではロボットの活用により、人が棚に合わせて動くのではなく棚が人に合わせて動くことで、ピッキング作業の効率化や人為的ミスの削減、施設内全体の効率的利用が実現されていた。
モノが収納されている棚の配置においては人が通れるスペースを設ける必要がないため、かなりの量を収容できるようであった。梱包作業においては、ピッキングされ箱詰めされた段ボールがコンベアで流され、納品書の情報をもとに配送先の伝票を自動で張り付けられることに驚いた。また、このコンベアは施設に備え付けられているわけではなく、レイアウト設計時に柔軟に設置できるようなになっていることも庫内の最適なオペレーションを実現できる一つの要因なのではないかと思った。

施設の進化が物流のイメージを左右する

今回の見学を通して、EC化率上昇や働き手不足に対応するために物流施設の在り方も変わっていく必要があることを学んだ。お話にもあったように、現状では物流施設の完全なオートメーション化には至っていないということだったが、人とロボットの協働によって作業の効率化や働きやすい環境づくりが進んでいることを実感した。このような施設がスタンダードになれば、物流に対するイメージも物流施設が果たす役割も大きく変わるだろうと思う。

倉庫内の様子

学習院大学
経済学部 経営学科 3年

M.I. さん(女性)の感想

学年は見学会当時

自動封函~自動送り状ラベリング

予想外!倉庫の現状

夕方流山の倉庫に到着すると、外は暗くなって来ているにもかかわらず何台ものトラックが倉庫に後ろ向きに止まっていて、荷役作業が行われていた。夏に参加した講演会で、ドライバーの仕事について、その範囲の曖昧さが社会的な課題になっていると言うことを聞いたので、この倉庫ではドライバーがどこからどこまでの仕事を担っているのだろうかという疑問がふと頭をよぎった。
倉庫では、働く人が棚の間を歩き商品を探すのが一般的だと思うが、大学の講義で度々「最新の倉庫では作業をする人のもとに棚が近づいてくる」と聞く機会があった。いざ現場に行ってみると作業員の方のそばを何台もの棚が自動的に動き回りながら、棚が自ら横一列に並んでいる様子を目の当たりにした。日常生活で触れるスーパーやコンビニでは見たことがないほどの省力化に向けた施設の様子に新鮮さを覚えた。天井はとても高いのに、倉庫内を見渡しても天井へ届くほど背の高いモノは特に見当たらなかったが、なぜあそこまで天井を高くする必要があるのだろうか不思議に感じた。

興味が湧くと疑問も湧いて……

倉庫の中を見渡すととても広々としていて、今回見学した規模の倉庫をフル稼働させるためには、どれだけの人が必要なのだろうか、そして今、倉庫内で人が担っている仕事の何%が今後機械に代替されていくのだろうか、といった疑問が次々と湧いてきた。
終盤には、仕分けされた商品の入った段ボール箱に封をし、宛名ラベルを機械が貼るという工程を見学した。段ボール箱が通るレーンは倉庫の状況に応じて配置を柔軟に変えられ、さらには分岐するレーンの数を増やすこともできると伺った。しかし、もともと普及していたレーンはすでに形が決まっていてそれを色々な倉庫に配置していたそうだ。
また、搬送用ロボットに対応した棚と、人が歩いてピッキングするための棚の2種類が置いてあった。従来の棚は安定していて頑丈そうなのに対して、搬送用ロボットに対応できる棚は脚がとても細く、高さもあったので、地震に耐える力があるのだろうかと疑ってしまうほどだった。

物流のリアルに触れた

今までは物流に対する知識が増えたとしても、実際物流に関わる人がどんな仕事をしているのか漠然としていてつかめなかったが、この話を伺ったことで「日々物流の現場を改善するためどうすることが最適なのだろうか」と試行錯誤する仕事なのかと、少し曖昧さが解消されたと思う。
倉庫を見学する前、おおたかの森センターで行われた織田佑一さんによるレクチャーの中で、『物流倉庫をどこに建てるか』というお話があった。お話を伺うまで、倉庫が建てられるのは消費者に商品を届けやすい都心部から近いところ、高速道路に近いところといった“距離”という視点からしか考えられていなかった。しかし実際には距離という視点だけではなく働く人という見方もあることを知った。その話を踏まえると、都心より25km圏内にあること、高速道路に近いことに加え、人口流入率が高くパート・アルバイトといった働く人を確保しやすい環境にある流山市が最適な立地であるというお話にはとても納得がいった。倉庫ができると付近の住民にとって雇用先が増えるという利点がある一方で、地域社会と近いことが汚染問題などで周辺に住む人々の不満を呼ぶことも考えられ、共生していく難しさがあると感じた。
次の機会があれば、ピッキング作業を行っているところを見させていただきたいと思った。

自動封函~自動送り状ラベリング