モノを作る[製造業(メーカー)]
部門別の「部分最適」から、後工程を意識したロジスティクス発想へ
メーカーの本業は、開発・製造しユーザー(企業や消費者)へ届けることです。
魅力ある製品の開発は製造業ならではの機能ですが、近年では、製品本体のスペックだけではなく、前・後工程を意識して製品開発や製造を行うことが求められています。大手カップ麺メーカーでは、「天地交互入れ」という手法で、1ケース当りの商品入数を増やすことにより、トラックの積載効率を向上させると同時に、ダンボール使用量の減少も実現しました。これは製品規格を決定できる製造業ならではの取り組みであり、作るだけではなく、届けるまでを考慮することで持続可能な商品供給網の構築は可能になります。モノ作りで名を馳せた日本が、ロジスティクスでも先端を走れるよう開発・製造・営業・物流等の各部門における情報連携が求められています。
製造業のロジスティクスのポイント - 部門間での
情報共有化
その道のプロに聞く!
製造業
(メーカー)
味の素株式会社
上席理事 食品事業本部
物流企画部長
堀尾 仁さん
※ 所属・役職は取材当時
持続可能な加工食品物流の構築に向けて
「わたしたちメーカーが開発した商品をお客様にお届けできなくなる」という危機が加工食品業界に今迫ってきています。人が潤沢にいた時は当たり前のように対応できた「個別最適化された行き過ぎた物流サービス」が、ドライバー不足をはじめとする物流従事者の人口減で対応しきれなくなってきています。この問題はメーカー1社だけでは解決できません。「競争は商品で、物流は共同で」という発想で、同業他社や異業種他社との「水平連携」、サプライチェーン全体による「垂直連携」、行政や業界団体を巻き込んだ「斜め連携」で足元課題を解決するとともに、日本の物流の将来を見据え、「商慣行の是正」と「標準化」を推し進めていかなければなりません。その先に徹底的に効率化された物流プラットフォーム(スマート物流)が構築され、持続可能な供給網の実現が可能となります。メーカー物流の担当者は 今、そのような仕事をしています。