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モノを運ぶ[物流業]

“運ばない”ことこそ究極の効率化

 物流事業者がモノを運ぶときにはトラックや海運、鉄道、航空などの手段があります。自社でトラックを保有して貨物を運ぶ陸運会社はたくさんありますが、海運を担う船会社や鉄道貨物会社、航空会社はごく少数です。ほとんどの物流事業者は、キャリアと呼ばれるこうした実運送会社の輸送サービスを利用する立場にあります。
 一般的な物流事業者が扱う貨物は、自らの所有物ではなく顧客から委託されたものです。なかにはトラックや倉庫などを一切もたずに顧客の貨物を預かって、外部の実運送会社を利用しながらオペレーションを手掛けている物流事業者もいます。
 こうした物流事業者が顧客に最も貢献できる方法は、誤解をおそれずに言えば“物流をやらない”ことです。貨物というのは、動かしたり保管したりするたびに費用が発生します。簡単に言えば、A→B→Cと運んでいた荷物を、A→Cで運ぶ工夫を見つけられれば物流コストは下がります。
 このように物流の効率化では、いかに業務のムダをなくすかがポイントになります。
 とは言え、実運送会社が自分たちの仕事を減らしかねない提案をするのは簡単ではありません。そこで誕生したのが3PL(サードパーティ・ロジスティクス)という業態です。第三者の立場で物流効率化を請け負い、コンサルティングに近いサービスを顧客に提供しながら物流の最適化に貢献しています。

国内貨物輸送量の推移

国内貨物輸送量の推移 グラフ

その道のプロに聞く!

物流業

山下 太さん

日本通運株式会社

  • 経営企画部課長

    渡部 健太郎さん

  • 総務・労働部(人事担当)

    江口 健太郎さん

※ 所属・役職は取材当時

運べないモノや地域を無くしていく

 日本通運は単に輸送や保管を手掛けるだけでなく、そうした業務をバックアップすることでお客様に価値を感じていただきながら発展してきました。
 日本にはもともと物流という言葉はありませんでした。輸送や保管といった個別の機能に附帯サービスをどんどん追加することで物流という概念が育ってきました。さらにこれが、お客様が必要とするモノを、必要なときに、必要な場所に届けるロジスティクスへと発展しました。当社の社員にとっても、ロジスティクスの観点から全体を最適化していくことは重要な役割です。  もっとも、物流業というのは、インフラビジネスであり、ネットワーク業でもあります。物流ネットワークを展開していない地域に低コストで貨物を届けるのは難しい。当社はそういう地域をなくすためにグローバルにネットワークを広げてきました。これは誰かに言われたからではなく、物流事業者として強みを磨くためにやっています。
 運べないモノをなくしていくのも当社の強みです。たとえば最近では、再生医療のためにマイナス180度の状態を維持しながら輸送してほしいといったニーズがあります。また「美術品」や「重量品」、「現金・貴重品」など以前は運ぶのが難しかった荷物も扱っています。
 そうやって物流の技術を高める一方で、お客様に最適な物流のやり方を提案していくことが、われわれの仕事です。こうした業務のイメージはコンサルティングに近いと思います。

求められているのはコンサルティング営業

ロジスティクスのプロに聞く!